The world's Edge

The World’s Edge(初回生産限定盤)(DVD付)

The World’s Edge(初回生産限定盤)(DVD付)


DOESの曲は、とても日常的である。私はそう思う。
では、私にとっての日常とは何か。何も変わらない日々?つまらない日々の連続?刺激に憧れる毎日?
ワタル氏が描写する世界は、間違いなくこの世界で、地に足をつけながら、日々を生きる人の目線だ。
どこにでもいる人の言葉を、どこにもない言葉で紡ぐ。
だからその素晴らしさに気付くのだ。日常の中に、輝く瞬間があるように。


このアルバムを聞いた率直な感想としては、使命感にかられ過ぎなんじゃないかなと思った。
「誰もやってないから、俺たちがやる」
やりたい音楽をやる。自分達にしか出来ないことを見つける。その次が、こうなることは何ら不自然ではない。


何の前触れもなく”曇天”から始まる。
”レインボウ・セブン”はリズムが心地よい。それは、時としてするすると流れてゆく。
”ネバー・マインド”は「昨日を無くして 明日を欲しがる」この部分がいつも引っかかる。
”レイジー・ベイビー”は冒頭の「後悔先に立たずと気づいてもあとの祭り」という歌詞が、難しい言葉を覚えて無理やり使ってみた感がすごくして、思わず笑ってしまった。その時点で、完全に詞の世界に引き込まれているのだけれど。
なぜか始まりを感じるのが”ワンダー・デイズ”。だから、1曲目でも良かったんじゃないかと思った。これぞ、日常世界から逸脱したい人の言葉。本気の熱さじゃなくって、ふらっと夢見心地のような様が余計に自分にしっくりくる。
もう何度も言ってるけど”デイ・サレンダー”、とにかく好きです。
DOESには、日常的ともうひとつの要素があって、小説的であるということ。まさに”夏の散歩道”、”太陽病”がそうである。
経験したことがなくっても、自分の頭の中で、どこか古めかしい質感の風景が浮かんでその真ん中に自分が突っ立っている姿を想像してしまうのだ。
誰もが持つ虚無感を抱えながら、それでも生きてゆく人物を描くのに本当に長けていると思う。そして、優しい気持ちにしてくれるのが”君の好きな歌”。この曲が最後でもよかったのだろう。
でも、”世界の果て”があることで何度もリピートして聞くアルバムになったというのは確かだと思う。
果てと言いながらも、世界は完結していない。