想い出は想いで、

先日、まえのこいびとさんに会った。
「会った。」では真意は伝わらないな、会ってきた。
もっと正しく言うと、「ついでに会ってきた。」なんだけど。
見かけることもあるし、話すことだってあったから特別に久しぶりというわけではない。
しかし、時間を作ってもらって話すのはいつ以来だったろう。


さよならしたつもりはないのに、想い出になってた。
音楽の話ばかりでお互いの核心につく話に辿り着かないのは相変わらずだし、
結局伝えたい事はうまく言えないし、
彼が私を見る目も、私が彼を見る目もきっと変わってない。


それでも、私の中にいる彼と私の目の前にいる彼は違う。


そんなことを冷静に思って、
そして自分の中に留めておくのが可愛げがないというか、私らしいなと思った。


特別に想うことを許されないのなら、特別に想ってもらえないのなら、触れることができないのなら。
自分の気持ち忘れてしまった。
できるなら一生会わない方が楽に決まっている。
けれども彼にもらったもの、直接返せないけれど、自分にとってどれだけ大切なものだったか、それはちゃんと伝えておきたいと思った。


想い出をはっきり認識したのは初めてで、戸惑いもあるけれど、今を生きているからこそだと思う。
想い出というものは、誰かとの間に存在するように思えて、自分一人の想いでどうにでもできるものなんだろうな。